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変態を育てて、社会と教育のギャップを解消せよ!~APU出口学長とCOLEYO代表川村による教育対談~

 「対談!大学生より考える小学生をつくる?APU出口学長71歳とRU出身起業家27歳の教育対談」f:id:stud-io:20190521211629j:plain

先日、株式会社COLEYO代表の川村がAPU(立命館アジア太平洋大学)の出口学長と対談させていただきました!対談の内容を(おおざっぱに)まとめてみましたので、ご覧くださいませ~✨
(出口学長の発言を「出」、川村の発言を「川」と表記させていただきます。)

日本の受験、社会とのズレがひどいと思いませんか。

川)僕は受験前の子どもたちを対象に教室を開いていますが、受験が子どもたちの興味・関心の幅を制限してしまっていると思っています。
出口さんは、受験に対してどのようにお考えですか?

出)今のセンター試験のような、全国一斉の試験はいいとは思うんです。教育の機会均等をかなえているから。ただ、試験の内容は別です。日本は世界の受験状況を全然見ていない。フランスで行われているバカロレアでは、「物事を知るには観察するだけで十分か?」などという問題が当たり前のように出されているんです。
誰が評価するんだといわれますが、人口7千万人のフランスでそれができているんだから、制度を整えれば日本でできないはずがない。
※フランスにおけるバカロレアとは、全国で一斉に行われる大学入学資格試験のこと。「哲学」という科目を必ず受けることになっています。

川)僕はそもそも受験に良い印象を持っていないんですよね。出身高校が偏差値39の学校だったこともあって、いわゆる受験戦争に参加していなかったのもそうなんですけど。小・中学生のころから自分でお商売を考えて、お金を稼いだりしてました。その後医学部受験も経験しましたが、役に立つ学びだったのは絶対に前者。
センター試験って、5教科7科目の勉強ができるっていう一つの尺度でしか測れないから、そこにあてはまらない、モチベーション溢れる子どもたちを拾ってあげられない。
2020年にセンター試験の内容が変わることになっていますが、大学受験が全て、という制度は違うと思うんです。

出)僕はセンター試験は、制度を少し変えて、高校卒業資格獲得試験にしてしまえばいいと思っているんです。日本では飛び級がほとんど認められていないから、好きなことをやっている「変態」が大学に入れないとか、そういうことが起こるんです。センター試験を1000点満点にして、500点取ったら卒業資格獲得、のようにしたらいいと思います。
今の有名高校は、1・2年生ですべて5教科の内容は終わらせて、3年生では受験のための勉強をしている。好奇心が非常に強くて、さらに社会への感度が高くなるこの時期に、受験のための勉強なんて時間がもったいないですよ。

 

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変態を育てて、教育を変える。

モチベーションの話から派生したこのお話。「変態を育てる」という表現が、たくさん出てきました。(ここで言うモチベーションとは、内在的に発生する人の行動を促すもののこと。例えば、ご飯を食べるという行為は、おなかが空いたからご飯が食べたい!というモチベーションからきているということになります。)

川)僕は、モチベーションが一番大切な資産だと思っています。日本は資源が少ない国だから、自然から得られるエネルギー面では世界と勝負できない。でも、モチベーションエネルギーは教育でいくらでも変化させられるんです。
今の日本の教育の仕組みだと、そのモチベーションを最大化できるのが14歳までだと思っているんですね。そこから、studioあおという教室では10歳から14歳の子どもたちを対象に、モチベーションを最大化することを目的とした教育を行っています。

僕は好奇心を引き出す仕組みを整えてあげるのが大人のやるべきことだと思っていて、その環境作りを色々と考えています。その1つが偏差値コース」と「変態コース」の導入。この2つを全国の高校に取り入れたい。
一定以上5教科の勉強ができる人は今の日本には必要だから、勉強に力を入れるコースが、「偏差値コース」。勉強ではなくて、好きなことやって社会で生きていける力をつけるコースが、「変態コース」です。

川)「変態を育てる」っていう感覚に僕はすごく共感で、みんな早く変態になればいいと思ってます。(笑)
環境を作るというのもまさにその通りで、僕がやっている教室「studioあお」は、子どもたちに本来備わっている好奇心を引き出す、いや、爆発させてあげられる場所にしたいと考えています。出口先生とは、アプローチする年齢が違うだけなのかなと思いました。
先ほどのお話で、高校のコースをふたつに分けるということでしたが、将来的には「偏差値コース」もいらないんじゃないかと思っていまして……そこはどうですか?
勉強をするのではなくて、自分の好きなことや興味のあることに全力で取り組める場をすべての人に用意してあげられれば、それでいいと思うんです。

出)僕も、長期的に見れば「偏差値コース」はいらないと思っています。ただ、今の日本の教育に取り入れるとしたら、接続可能という現実的な面を考えてこの2つのコースを用意する必要があるんです。そもそも実現の可能性がなければ、世の中に受け入れられない。社会への接続性を考慮した割合で考えると、例えば「偏差値コース」が7割、「変態コース」が3割でしょうか。
慶応義塾大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)の山形分校で、中高生向けに面白いことをやってる教室があるみたいでして。話を聞いたら、「変態コース」を体現しているようだったので、今度行ってみようと思っています。

川)えっ、面白い!是非僕も連れて行ってください〜!

未来はどうなるかわからない。だから、好きなことやっていこうよ。

川)好きなことやって、それを誰かの価値に転換できれば、それはもう社会人。
いつからでも遅くないと思うけど、「これやりたい」って思ったならすぐ動いてみたらいいと思います。

出)やってみなきゃ、動いてみなきゃどうなるかわからないですよね。劉邦は川の流れに流されて、目の前のことをいろいろやっているうちに、いつの間にか皇帝になっていた人なんです。必死に動いてたら、国のトップになっちゃった。本当にどうなるかわからないんですよね。

川)僕は、「起業するぞー!」って株式会社を設立したわけじゃなくて。(笑)
studioあおという教室だけをやっていたんですけど、Benesseさんと仕事をさせてもらうことになったときに、株式会社をつくらないといけないことになったんです。それで慌てて起業しました。

出)起業に関していうと、学生から「起業したい」という話をよく聞くのですが、「~したい」と言う人はいっぱいいます。本当にやりたいなら、やってみればいい。

川)最近、学校の先生から連絡をもらって、見学に来ていただいたりお話をしたりすることが多いのですが、みなさん今の教育に危機感を持っていらっしゃる。
そんな今の教育をどうすれば変えられるか考えて、一緒に動いていきたいですね。

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立命館の先生方と。(楽しそう)
 
出口先生をはじめ、関係者のみなさま、本当にありがとうございました!

「最初緊張しすぎて、何をしゃべっているかわかりませんでした。めちゃめちゃ面白かったです。ありがとうございました。」by川村