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中学生に10万円投資!?イソギンチャクの毒の研究の全貌

こんにちは。ブログ初登場!スタッフの柴橋和樹です。

てつさんのTwitter(@Tetsu_studioao)をフォローしていらっしゃる方は1度お会いしたことがあるかも、、、

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そうです!イソギンチャクの毒の研究のために、教室から10万円引き出すべく、“暗躍”したしばはしです!(^^)


studioあおの投資システム“Pitch3”って?―中学生でも10万円の投資が受けられるー

今振り返るとやはり10万円引っ張り出すのは大変でした。

”引っ張り出す”と聞くとお願いしてお金をもらっているようですが、実際は研究のために教室から投資をしてもらっています。

Studioあおでは生徒が自身のプロジェクトを進める上でお金が必要な場合、投資を受けることができるpitch3(pitchとは短い時間で新しい提案をするという意味です!)という仕組みがあります。

ただし、投資を受けることができるのは投資する価値があると思ってもらえた場合のみ!生徒は投資をうけてプロジェクトを進めるため、緻密な計画作りと、プレゼンの準備が求められます。

僕の”暗躍”というのはそのサポート。

 

イソギンチャクの毒の研究をしている生徒の彼は根気よく調べ、実験について考えました。Pitch3を通じて研究の意義と計画性が認められ、投資を受けた結果。。。

 

今あおの教室にはイソギンチャクがいます!!!!! 

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(いや、ほんとかわいい。クマノミも含めて。)

 

教室全体でみても非常に注目度の高いイソギンチャクの研究。先日行われた発表会では「MVP(Most Valuable Project)」を受賞しました。

今回はそんなイソギンチャクの研究を振り返りながらstudioあおで行われている学びの一部をお伝えしたいと思います。

 

 

問いの発見:「最強の生物ってなんだ?」

始まりは、生徒のこの一言からでした。

いつの時代も男子は「最強」に憧れるんです!

(僕も小さい頃は「最強」のポケモントレーナーになりたかった、、!(小2))

studioあおではこういった生徒の何気ない発言や疑問からプロジェクトが立ち上がることが多いんです。生徒本人の“興味”や“疑問”が最も学びを加速させますからね。この研究はその代表例です。

 

ということで、「最強」のやつを求めた学びの旅の始まりです。

 

………

 

“最強”ってなんだ?

一番でかいやつ?一番重いやつ?一番力があるやつ?一番賢いやつ?

いろいろ考えた結果、「最も強い毒を持つ生物」という結論にたどり着きました。

 

ということで、「最強」=「最も強い毒を持つ生物」と定義し調査を始めました。

(生物は敵から襲われないようにする特性があるという生物学的観点を本やネットを用いながら調査し、毒と定めました。どんなに大きくて、重くて、力がある生き物でも毒を食らってしまってはどうしようもならないですからね(^_^;))

そして、、、

いました。いました。

最も強い毒を持っている、「最強」の生物。

それがこのマウイイワスナギンチャクです。

 

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https://kikenseibutsu.info/palythoa-toxica-7k/
より

 

どうです?結構毒々しくないですか?

マウイイワスナギンチャクの毒は青酸カリの約8000倍、フグの毒、テロドトキシンの約60倍。もうよく分からないですね。とにかくめちゃめちゃ強い毒ってことです。

このイソギンチャクに刺されると最悪の場合死に至るそうです、、(; ゚Д゚)

 

生徒「日本にいなくてほんとによかった!」

スタッフ「ほんとだね!でもマウイイワスナギンチャクが生息している場所には人はいないのかな?」 

調べてみるとこのマウイイワスナギンチャクは、マウイ島のハナ海岸の一部にのみ生息しており、その生息範囲は非常に限られていますが、少し南に行くと有名なハモアビーチがあります。

生徒「ビーチの近くにあるんだね。」

スタッフ「知らない人が誤って触ってしまうこともあるかも知れないね。」

生徒「危ないね。どうにかしてこの毒を防ぐことはできないのかなぁ」

こんなちょっとした会話がきっかけで、この「世界一の猛毒を防ぐ研究」は始まりました!

でもさすがにマウイイワスナギンチャクを輸入して、教室で飼うことなんてできないので(飼ったらもう教室に生徒が入れなくなります汗 てかまずどうやって配送するんだろう笑)、日本にいるイソギンチャクの毒を防ぐ研究から始めることにしました。

この「実現可能性」の点についても、もちろん生徒と議論しながら決めていきます。

 

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(↑世界一猛毒のマウイイワスナギンチャクについての調査結果を発表する生徒)

 

先行研究の調査と差別化~イソギンチャク研究のパイオニア高校生を超えろ~

問いを見つけたらいよいよ研究の本題に入っていきます。

studioあおが考える研究とは、「この世で“自分しか知らない”を作ること」。“自分しか知らない”を作るためには、まずは先行研究を知ることが必要です。先人の成果を使わない手はありません。

早速先行研究についての調査を始めると、分かったことが。”イソギンチャクの毒を防ぐクリーム”がすでに開発されていたんです!しかも、

しかも、開発したのはなんと日本の高校生!カクレクマノミなどがイソギンチャクに刺されないことをヒントに発明したそうです。

 

なんてこった。先を越されてしまった。。。くぅー、、中学生の進撃もここまでか。。。。。

 

ところが、このクリームには弱点が。

実はクリームを塗って海に入り、1度陸に上がってしまうと、クリームの効果がなくなってしまうらしいんです。これじゃあ途中で休憩する度に体にクリームを塗りたくらなくちゃいけない… もう泳ぎにきたのか、クリームを塗りにきたのか分からなくなりそう。

 

こうやって今あるものに対して「課題」を見つけることは学びにおいて大事ですね。

 

生徒「じゃあウエットスーツの布にクリームの効果をくっつければいいじゃん!」

スタッフ「それはいいアイデア!」

 

ということでイソギンチャクの毒を防ぐウエットスーツ開発がスタートしました。

イソギンチャクの毒を防ぐクリームにはマグネシウムイオンという物質が含まれており、このマグネシウムイオンによって毒を防いでいます。このマグネシウムイオンをウェットスーツの布に含ませることができるのではないかと考え、マグネシウム繊維を製造している会社、「宇部マテリアルズ株式会社」様に問い合わせてみました。

宇部マテリアルズ株式会社のHP: https://www.ubematerials.co.jp/

 

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(↑実際に送ったメールの文章)

自分ひとりでどうしようもないときはわかる人に聞いてみる。これも課題を解決していく中で大事なことです。それは教室内の先生にとどまりません。社会全体が先生です。会社に問い合わせる時も、メールを送るときのマナーや文章の書き方も一緒に学びます。働いている人の時間を頂く訳ですから、こういった他者への配慮も社会人としての大事な要素です。

 

しかし、結果は技術的に難しいと。。(宇部マテリアルズ株式会社様からは大変丁寧なお返事を頂きました。ありがとうございました。)

「くぅー、、!!(2度目)」

 

自分だけの仮説~逃げるイソギンチャクから見つけた突破口~

 

「もはやここまでか、、」

あきらめムードが漂いつつも、彼は再び調査を始めました。

調べ続けるその後ろ姿!なんと頼もしいことか、、!

 

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そして、とうとう見つけたのです!この動画を!

https://youtu.be/-6lMD9h_ix4

 

生徒「イ、   イソギンチャクが逃げている、、、!!!!」

スタッフ「イソギンチャクってそもそも動くの?……えええ、ほんまやん!!!」

 

スタッフも生徒と一緒に大興奮です。

フウセンイソギンチャクという種類のイソギンチャクがヒトデから逃げる姿を見て生徒から新たな疑問が、、。

 

生徒「なんでヒトデから逃げるんだろう?」

 

いい問いですねぇー!(拍手)

調査活動がどんどん加速します。

 

 生徒「このイソギンチャクは、ヒトデに含まれているアルカロイドという物質に反応して、ヒトデを天敵と認識し、逃げるっぽいです!」

 

じゃあ高校生が見つけたマグネシウムイオンではなくアルカロイドを使って、イソギンチャクの毒から身を守ることができるのではないか??!

 

(おそらく)まだこの世で誰も見つけていなかった仮説を見つけました!!!

しかもこのアルカロイド、身近なところだとジャガイモを放置して緑色になると含まれているそうです!(厳密には植物性アルカロイドなので微妙に異なる物質らしいです。)

 

これはもうイソギンチャクを飼って、

アルカロイドによって日本に生息するイソギンチャクを退けることができるのか」

「ジャガイモのアルカロイドを用いることができるのか」

検証するしかない、、!! 

 この「仮説を立てて、検証して、まとめる」こそstudioあおで行う研究です。

 

まだまだ続くイソギンチャクの毒の研究!ー実験、そして論文執筆へー

研究計画と実験方法を考え、並行してイソギンチャクの飼い方を調べました。ここでも数多くの課題(例えば生徒が毎日studioあおに通っている訳ではないので御世話をどうするかなど)にぶつかりましたが、一緒に解決策を考え、1つ1つ課題をつぶしていきました。

そして、投資を受けるためのプレゼンをし、イソギンチャクを飼い始める。。。

 

といった流れで今に至るという訳です。

長々と書いてきました(最後はちょびっと駆け足になっちゃいました汗)が、少しはstudioあおでの学びの様子が伝わったでしょうか?

生徒の小さな疑問から始まったこの研究ですが、問題を設定し、その問題をひとつひとつ解いていくことで今少しずつ形になってきてます。

 

でもこのイソギンチャクの研究はまだまだ発展途中。

 

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(↑実験中の写真。なかなか予想通りの実験結果にはなりません。だからおもしろい!)

これからの実験結果、研究成果の報告も楽しみにしててください(^^)

スタッフと生徒が一体となって、頑張っていきます!

 

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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