ゲームスタート
9月13日 木曜日
いつもの時間に家を出た。母さんは「いってらっしゃい」と言って500円をくれた。僕はそのお金をポケットの中で握り締めた。漠然と申し訳ない気持ちがこみ上げてくる。学校に通っていないのに、母さんは僕にごはん代をくれる。何の価値もない僕に毎朝500円をくれる。母さんはこんな僕を恥ずかしく思うだろうか…
猿タコスには9:30に着いた。見ず知らずのいじめられっ子の僕のために力を貸してくれるんだから、遅刻はできないなと、万全を期しての30分前集合だった。猿タコスはまだシャッターが閉まっていて、しばらく高校までの一直線の道を眺めていた。再び学校に行く日は来るのだろうか。
しばらくすると、ガララとシャッターの開く音がして、寝起きのミチロウさんが顔を出した。
「お、早かったね。おはよう。」
ミチロウさんはあくびをしながら声をかけてくれた。猿タコスの営業時間は夕方から深夜1時で、普段はバー営業をしている。こんな朝早くに開けてくれるのは明らかに僕のためで、なんとも申し訳ない気持ちがこみ上げた。
「お、おはようございます…あ、あの僕…」
「とりあえず中入ろうか。ホットでいい?」
「は、はい…あ、あの、僕いつもお金払っていなくて、だから、その…」僕はポケットから500円を取り出した。
「あー。そう言えばそうだったね。あ、じゃあこうしよう。いじめが解決するまではコーヒー代無料。その代わり解決したら僕のお願いを一つ聞く、でどう?」
「ミチロウさんのお願いですか?」
「いや、別に多額の現金要求とか、ケツ掘らせろ、とかそういんじゃないから。とにかく今はお代はいらないから!」
「え、でも…」
「こういう時はありがとうございます、って言っとけばいいんだよ。」
「あ、ありがとうございます…」
ミチロウさんはにこっと笑った。とりあえず外は暑いからということで僕たちは店の中に入った。
ミチロウさんには聞かないといけないことがあった。出会ってたかだか2日ではあるが、僕はこの人になら裏切られてもいいと思い始めていた。だけどずっとひっかかっていることがある。それは、どうして僕みたいないじめられっ子を助けるといった、めんどくさいことを引き受けたのか。なんなら自分から提案してきたくらいだ。何か裏がある。裏があってもいい。だけどそれを知らないことには、どこか全力で飛び込めない自分がいた。
いつも通りカウンターに座ると、思い切って質問してみた。
「ミ、ミチロウさん。あの、どうして僕を助けてくれるんですか?」
「うーんとね、理由は二つあって…あ、まぁいいや。理由は一つで、人生のコンセプトにそってるだけだね。」
「コンセプトですか?」
「どういう風に生きて生きたいかっていう指針というか、これに沿って生きていけばオッケーみたいな決め事だね。楽しく、気持ちよく、適当に、っていうのがボクの人生のコンセプトなの。」
「ど、どういう意味ですか?」
「ざっくり言うと、“楽しく”は自分が楽しく、楽しくなさそうに見えるものも楽しむ視点・姿勢をもつこと。で、“気持ちよく”は、関わる人が嫌な気持ちにならないよう、気持ち良い状態になってもらうということ。最後の“適当に”は、頑張ったり、努力したりするんじゃなく、適っていて当たっている適切な手段をとるってことなんだけど、なんとなくわかるかな?」
「まぁなんとなくは…」
「だからさっきの、なんで助けたか、という問いに対して答えると…川村くんがボクに頼るという選択をしてくれた。つまりボクに関わったわけだ。そんな川村くんを気持ち良い状態にしてあげたい。適って当たっている手段を一緒に考えて解決していきたい。そんな一連を自分が楽しめそうだな、と思ったから川村くんを助けようと思った。それに川村くんはもったいない人だからね。」
「も、もったいないって何ですか?」
「例えば川村くんとか、面白いもの持ってるはずなのに、ちょっとやり方を間違えてるからそれを発揮できないままにいる。そういうのって社会的にすごくマイナスだと思うんだよ。だから川村くんのような、もったいない人が乗っかってる線路をきゅっと動かしてあげて、その力を発揮できるようにしてあげたい。」
ミチロウさんの言うことは腹落ちしたようで、そのすべてを理解することできなかった。それはきっと今の僕は自分のことで精いっぱいで、ミチロウさんにも母さんにもたくさん迷惑をかけているからだろう。関わってくれた人を気持ちよくだなんて、おこがましくも言えない。
「も、もう一つだけいいですか?」
「どうぞ。」
「ぼうけんのしょって、あれ、なんですか?」
「え、川村くんゲームとかしない?」
「ま、まったくしないです…」
「あ、そーなのか…まぁいいや。とにかく説明するから、見せてもらってもいい?」
僕はぼうけんのしょをカバンから取り出した。昨晩は夜中のテンションも相まって、生々しいことまで書いてしまった。よく我慢したね、くらいは声をかけてくれるだろう。でも、もしここでミチロウさんにひかれたらどうしよう。もう取り返しがつかない、なんて言われたらどうしよう。僕は不安でぐっとノートを握りしめた。
だけどここまで来て逃げるわけにはいかない。僕は自分の意志でノートを書き、自分の意志でここに来た。勇気を出すんだ。
「…こ、これ、読んでください。」
ミチロウさんは大事そうにぼうけんのしょを受け取り、タバコに火をつけた。真剣な眼差しでノートを読む。たまに天井を見上げ、うーんと考えた後に、またノートに目を戻す。僕はまるで面接でも受けているかのような気分になった。タバコを吸い終え、一呼吸置いてミチロウさんは僕の目を見てニコッとした。
「いじめRPGの始まりだ。」
僕は肩透かしをくらった気分になった。期待していた言葉どころか、よくわからないコメントが返ってきたからだ。
「ボクに相談したことでやっと川村くんはスタート地点に立ったというわけだ。」
今までも僕はいじめと戦ってきたと思っていた。これからがやっとスタートだって?
一般的にはどう言われてるかわからないけどさ、と前置きをして、ミチロウさんは自信ありげに話した。
「いじめってね、冷静に対処できる学外の人間に相談できれば、ほとんど解決したようなもんなんだよ。いじめが解決しない一番の問題は、川村くんのように誰にも相談せず、我慢して、一人で抱え込んでしまうことなんだ。」
我慢したことを褒めてもらえると思っていた僕は、自分の行為を後ろめたくなった。
「だ、だって友達もいないし…先生に言ったらいじめが余計ひどくなったりしそうで…親には心配かけられないっていうか、なんか家族の恥みたいに思われるのも嫌だし、それにどんな行動をとられるのかもわからないし…」
「わかる。非常にわかる。ただいじめは我慢するとさらに悪化するんだ。」
「たしかに…最初の頃よりどんどんエスカレートしています…」
「いじめる動機には大きく二つあって、一つは今の地位を守り抜きたいと思っている保守的な気持ち。要するに、いじめられる側にまわるのが恐いからいじめを継続しなければーと思うこと。もう一つは単純にいじめることに楽しさを見出している気持ち。これが厄介でね…陰口から墓場までって聞いたことある?」
「き、聞いたこと無いです。なんです、それ?」
「ボクがつくった!」
「じゃあ知るわけないじゃないですか!」
「限界効用逓減の法則ってのがあってね。簡単に言うと、人間はあることで一度満足しちゃうと、次はさらに上のレベルじゃないと満足できないって言う心理があるんだ。つまり、陰口レベルで始まったいじめは、パシリ、暴力、金銭搾取、とどんどんハードなものになっていき、最後は自殺に追い込むまでエスカレートしていくって話。」
「つ、つまり最初にいじめに対してNOと言わないといけないってことですか?」
「ご名答!ベストなのは早いうちにいじめを止める。もっと言えばいじめの芽を摘んでおく、というのがいいんだけど…正直これは難しいんだよね…」
「どうして難しいんですか?」
「理由は三つあって、1.我慢すればいつかいじめは終わるんじゃないかと思ってしまうこと。2.いじめは大人に見つからない場所で行われるケースが多いこと。3.学校側は主体的にいじめを見つけようとはしないこと。」
「…まさにそうでした。いつかいじめっ子たちはいじめに飽きるんじゃないかとか、夏休みに入れば終わるんじゃないかとか、我慢してればいつか終わると思ってました…」
「それを、いじめマヌーサという。」
「なんですかそれ?」
「マヌーサってのは相手を幻に包んで攻撃の命中率を下げる呪文なんだけど、まぁそんな話はどうでもよくて…行動したら余計にいじめがひどくなるかもしれない。だからひたすら我慢する。我慢してればいつか終わりがくる、という思い込みこそがいじめマヌーサ。しかし実際は?」
「陰口から墓場までですか?」
「そう。ゲーム上ではマヌーサは何ターンかすれば消えるんだけど、いじめマヌーサは行動するまでずっと消えない。その思い込みをなくさないことにはいじめは終わらないんだ。」
「言われてみればそうだ…2.もミチロウさんの言う通りで、あいつら休み時間とか放課後とか、先生が見てないところを狙ってくるんですよ…」
「いじめっ子もそんなに馬鹿じゃないからね。現場を見られれば、怒られる、罰せられるリスクがあるから大人の見えないところでいじめを行う。あとあとそこを狙うんだけど…まぁ今はいいや。で、3.なんだけど…」
「きょ、教師は終わってるってことですか?」
「いや、そうじゃない。学校の先生はほんとに忙しく一生懸命頑張っている。」
「じ、じゃあ誰が悪いんですか?」
「強いて言うならば、評価制度だね。」
「制度ですか?」
「いじめが起こると、責任をとるのは誰だと思う?」
「校長とかですか?」
「その通り。だから校長や教頭といった学校のお偉いさんは、さらにお偉いさんの教育委員会の評価を恐れている。だからいじめを隠したり、発覚したとしてもなるべく小さめに報告する傾向があるんだ。そしてその学校のお偉いさんたちが教師の評価を決めている。つまり…」
「教師たちは自分に不利な報告をしない?」
「お見事!学校のお偉いさんにとって都合のいい教師が評価される。極端な話、“生徒にすごく好かれるけど校長に嫌われる先生”よりも、“生徒のためには何もしないが校長にとって都合の良い行動をとる教師”のほうが評価される。自分の評価が下がると給料や転勤にも反映されるから、クラスで問題があってもなるべく他の教師に相談しない。だからいじめっぽいなと思っても教師は動かない。主体的にいじめを見つけようとしない、という説明でした。」
「…悲しいですね。」
「勿論すべての学校がそうだってわけじゃないよ。でもそういうケースがありうるからこそ、教師にはいじめの相談よりも、いじめの報告をするほうがいい。」
「いじめの報告ですか?」
「相談レベルだと教師が動かない可能性もあるし、下手に動かれていじめがさらに苛烈になる可能性があるでしょ?」
「か、確実にもっとしんどくなると思います。」
「だからいじめの証拠を集めて事実を伝え、教師が動かざるを得ない状況をつくるんだ。」
「わかるんですけど…でもそんなことできないですよ…」
「じゃあできるようになるにはどうすればいいかひとつひとつ考えてみよう!何が難しいと思う?」
「しょ、証拠を集めるってどうするんですか?」
「川村くんスマホは持ってる?」
「ほとんど使わないですけど、いちおう…」僕は家族の連絡先しか入っていないスマホを手渡した。ミチロウさんは何やらスッスとスマホを触り始めた。
「これ新品?」
「いえ、2年使ってます。」
「おぉ…なるほど…ちなみに機能は一通りわかる?」
「いえ、僕が使うのはカメラと電話くらいです。」
「LINEとかInstaとかのSNSは知ってる?」
「き、聞いたことはありますけど、よくわからないです。」
「…川村くんほんと面白いね。最近のスマホはさ、ほんと性能がよくてさ、けっこうクリアに録音できるんだよ。」
そう言ってボタンを押すと、僕の声とミチロウさんの声が録音されていた。
「へぇー!こんなのがあるんですね!」
「これは、ガラケーの時代からあるんだけどね…とにかくこれをポケットにでも忍ばせてれば声は録音できる。証拠集めについてはまた詳しく話すよ。」
ミチロウさんはなんでも知ってるすごい人だ。父さんみたいだ。
「さて、次に難しいのは教師への報告かな?」
「そ、そうですね…ていうか、やっぱりいじめについて誰かに話すこと自体が正直難しいです…うまく言えないけど、なんか負けた気がするんですよね…」
ミチロウさんはキッチンに向かい、包丁を持って帰って来た。
「な、なにするんですか?」
「質問です。川村くんの目の前には殺人犯がいます。あなたならどうしますか?1.警察を呼んで助けを求める。2.人に頼ると負けた気がするので自分で立ち向かう。」
「そ、そりゃ1.ですよ。助けを求めますよ。」
「では問題です。日本において、殺人件数と小中高生の自殺件数ではどちらが多いでしょう?」
「え?それは…殺人のほうが多いんじゃないですか?」
「正解はどちらもほぼ同じでした。」
「そうなんですか?」
「どちらも年間で300人台なんだ。川村くんは昨日いじめを苦に自殺しようとしていた。なのにいじめに負けるのが嫌で助けを求めない。かたや殺人犯を前にすると助けを求める。おかしいと思わない?」
「それは…殺人は犯罪だけど…」
「いや、いじめも犯罪だよ。ちなみに今川村くんは証拠さえ集めれば、かなりの確率でいじめっ子たちを法で裁くことができる。」
「ほ、ほんとですか?」
「ぼうけんのしょを見る限り該当しそうなのは、侮辱罪、名誉既存罪、暴行罪、隠匿罪、傷害罪、恐喝罪、強要罪、窃盗罪、器物損壊ってとこか。落合2.7人分の夢の八冠王ですなー…って古いか。」
「そ、そんなことになってたんだ…」
「ではもう一度質問です。いじめを苦に自殺しようと思っていたあなたは、そのことを教師に報告しますか?」
「…わかりました…報告します。証拠集めて報告します。」
「お見事っす!最大限サポートするからさ、大丈夫だよ!」
ミチロウさんに大丈夫って言われると、ほんとに大丈夫な気がしてくる。不思議だ。
「でも、あれですね。ミチロウさんに出会えたから僕はよかったものの、もしそうじゃなかったらどうすればよかったんですかね?」
「いい質問だね。考えてみよう。もしボクがいなかったとき、川村くんはまず初めにどういうアクションをとるべきだったと思う?」
「まず初めは学外の人間への相談ですよね?」
「そうだね。じゃあそれは誰に?なんて相談する?」
「か、考えたんですけど、やっぱりいないんですよ。ほんとに僕にはミチロウさんしかいなかったんです。なんて相談するかって言われても、助けてください、としか言いようがないです。」
「そこを理解する必要がある。いいかい。いじめられっ子が初めにするべきなのは、どういうアクションをとってほしいかを明確にし、一緒に動いてくれる人間が現れるまで訴え続けることだ。」
「そんなの…できないですよ…」
「難しいと思う。でもいじめから抜け出すには、それくらいのことをしなければならない。いつかいじめは終わるだろう、誰かが助けてくれるだろう、という受身の姿勢では絶対に解決しないんだ。一人の人間が頼りなかったとしてもそこで絶望してはいけない。数撃ちゃ当たるで、相談していくしかない。」
「だからそんな数撃つほど学外に知り合いがいないんですって…」
「とっておきの存在がある。ベストなのは親だ。」
「親はだって…」
「家族マヌーサにもかかってるね。例えば川村くんに子どもがいたとして、もしその子どもがいじめられたとする。でも子どもは川村くんに心配されるのが嫌だから、川村家の恥になるからと相談をしてくれない。川村くんならどんな気持ちになる?そのとき川村くんは、子どもを心配するのが嫌かな?自分の子どもを恥に思うかな?」
「…思わないですね…どちらかと言うと、相談してくれないことが悲しいというか、自分が信頼されていないことにやるせなくなります。」
「ほとんどの親は子どもに好かれたいと思っている。自分のすべてを投げ打ってでも子どもを守りたいと思っている。それが一般的な親の感覚だよ。」
「だけど、ことを荒立てて、逆にいじめが深刻になるかもしれないし…」
「だから話すんだよ。どういうアクションをとってほしいか。そして約束するんだ。熱くならないでほしいと、冷静に対処してほしいと。そうすればきっと親も理解してくれるはずだよ。」
「たしかにそうですね…納得しました。」
「ここまでをまとめると、こういうことだね。」
・いじめは一人で抱え込むことで、事態は悪化する
・学外の人間(親がベスト)を巻き込んだ時点で、いじめ解決がスタートする。
・どういうアクションをとってほしいかを伝える。熱くならず、冷静に対処してもらうことを約束する
・教師にはいじめの相談ではなく、いじめの事実を報告し、適切なアクションをとってもらう
「川村くんはボクに相談をしたことで、とにもかくにもこのRPGをスタートできたんだ。」
「何かあまり実感がないんですが…」
「人に話すのは勇気がいるよね。だけど、話してしまえばどうってことじゃない。一人でボールを持つんじゃなくて、適切な人にボールをパスしちゃえばいいんだよ。そうしてたくさんの人を巻き込んでいけばいいんだ。」
「な、なんかあの…ほんとありがとうございます…何から何までほんと…」
「ここからが本当の戦いだから。ボクの仕事は、いじめ解決RPGのストーリーとルールを教えること。あと初期装備と必殺技を授けることしかできない。でもこのRPGの主人公はきみなんだ。プレイヤーがいなければゲームはクリアできないだろ?」
「ぼ、僕が…主人公…」
「やるだけやってみようよ。きっと勇者になれるよ。大丈夫。これからきみには強力なパーティーができるから。」
「パーティー?」
「まぁ楽しみにしてなさい。で、どうする?ストーリーとルール説明聞く?」
何も失うものはないと決めたじゃないか。踏み出せ。幸せな人生を送るんだ。自信ある人間になるんだ。
「あの…お願いします!教えてください!」
ミチロウさんはニコッと笑った。僕は「ぼうけんのしょ」を開き、一語一語聞き漏らさないようにセーブしていった。
【概要】
・いじめRPGは、自信レベルを上げながら、パーティーをつくり、いじめを解決していくゲーム
【ストーリー】
・ステージ①最初の村:初期装備と初期パーティーを手に入れる
→弱みの中から比較的コントロールが簡単なものを改善する
→助けてくれる人には全力で頼る
・ステージ②酒場:自信レベルを上げる
→弱みを克服しつつ、強みを生かす方法を見つけ、どんどん強みを伸ばしていく
・ステージ③魔王の城:ラスボスに宣戦布告する
→いじめっ子に対してNOを突きつける
→いじめが止まらない場合、親・教師に報告する
→親・教師に対してはどういうアクションを取って欲しいかを伝え、冷静に対処することを約束してもらう
・ステージ④ダンジョン:伝説の装備を集める旅に出る
→いじめの証拠を集める
・ステージ⑤魔王の城:伝説の装備を使ってラスボスに挑む
→いじめ当事者、親、校長・教頭に事実を提示し、“いじめ“を倒す
・裏ステージ:パーティーをつくる
→友人をつくり一人という状況から脱却する
【ルール】
1.ぼうけんのしょには、日ごろの思いやいじめの内容など、なんでも書き込むこと
2.ストーリーの順番どおりに進んでいくこと
3.自信レベルは弱みを克服するよりも、強みを伸ばすほうが上がる
ミチロウさんからRPGゲームというのはだね…と説明を受けたが、僕にはあまりよくわからなかった。そんな僕に反してミチロウさんはのりのりだった。この人、さては楽しんでるな。
それでも僕は嬉しかった。人のいじめを楽しまないでくれよ、という思いよりも、ミチロウさんへの申し訳なさが和らいだからだ。僕はこれからどうなっていくのだろうか。