企む職員室。[studioあおブログ]

企みつつ、育てています。

海とヤンキーと。

このまえ夜の海が見たいね、となり姫路へいった。
久しぶりの車の運転のなか、なんとか海へたどりつき。
さぁ夜の海を目で耳で感じるんだとおもった矢先、ふっかふかの砂浜に車を進めてしまった。
あたし知らなかったのだけど、砂浜に車って停めちゃいけないのね。

ほんとびっくりするくらい車が進まない。
タイヤがきゅるきゅると空回りして、いっこうに地面をとらえてくれない。
バックしても前に進んでも、ほんと1ミリも進まない。
ぐっと踏ん張って全身使って押しても、微動だにしない。

よわったねえ~どうしようかいねえ~。
へらへら顔でお茶を濁してみるも、心中おだやかじゃない。
いよいよJAFやらの力を…と思ったところで、一台の車が近くに止まった。

なにしてんすか?

声をかけてきたのは、地元愛す系のヤンキー二人だった。
あたしの苦手なヤンキー。
されど背に腹は代えられんとばかりに声をかけた。

助けてください。

ヤンキーというのは元来、人を救うようにプログラミングされているのかもしれない。
彼らは地面にはいつくばって、ジャッキで車を持ち上げてくれ、近くから拾ってきた板をはさんでくれた。
いくばくかお金を渡そうとしたが、そういうのじゃないんで、と満面の笑みで返された。

うわ、酔ってるやつやん。

と思ったが、たしかに酔える場所ではあった。
オレンジのヘッドライトと、月の光。
波のザザザンと、砂を掘るミシミシ、という音。
なんだかそう、幻想的だったのだ。
それらがそうさせたのか、ぼくも2週間ほどやめていたタバコを取り出して、ぷかーっと一服した。

ヤンキーが合流して2時間。
動いては止まり、またジャッキアップして板をはさんで。
あともう少しでアスファルトにタイヤを進めることができる、ってところで本気のヤンキーが5人現れた。
最初にきた2人のヤンキーが気まずそうな顔をする。
でもこの日のあたしは酔っている。

助けてください。

ボスヤンキーは鮮やかに現場をしきり、圧倒的な統率力で車をはい出させた。
あたしたちの2時間はなんだったのってくらい、ほんとものの1分とかではい出た。
ヤンキーすげーって。

普段ならぜったいしないのに、ヤンキーとかたく握手をして、大阪きたら連絡してや、と言った。
興奮冷めやらぬなか、数時間ぶりのアスファルトを運転していると、腕が筋肉痛になっていることを知った。
最後にヤンキーと固く握手をかわしたのが、なんだかとても恥ずかしく、頬がぽっとなった。

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