企む職員室。[studioあおブログ]

企みつつ、育てています。

"ニセモノ"に飽きる子どもたち。- 代表のひとりごと🍵

私たちがなにか行動を起こそうとしている時、脳内では「ドーパミン」と呼ばれる快楽物質が分泌されているそうです。
三大欲求が満たされた時や、褒められたり、愛を感じたりという社会的欲求が満たされた時、もしくは欲求が満たされると期待される時に、ドバドバ出てくるらしいです。

今、僕はサイゼリアで記事を書いているのですが、ミラノ風ドリアが食べたいという強い衝動に突き動かされてやって来ました。これ、ドーパミン出てます。
結局パスタやらドリンクバーやらを一緒に頼んでしまって、会計が1000円超えてしまうのも、これドーパミンの仕業。
そこのあなたがこのブログを見ているのも、漏れなくドーパミンの仕業なわけです。

我々の行動はドーパミンがどんな時に出るか、に規定されており、もはやドーパミンの奴隷と言っても過言ではありません。


で、これ書いているのは30日大晦日前日の22時なんですが、サイゼリアほぼ満席なんですね。
これだけ多くの人にドーパミン分泌させるなんてサイゼリアやばいな、とシンプルに思いました。

もちろんサイゼリアに限らず、世の中のあらゆる愛されサービスたちは、これ全部ドーパミンを分泌させまくってるわけですね。もうあらゆることからドーパミンは切り離せないわけです。
つまるところ、世の中の全てのビジネスマンは「お客さんのドーパミンを如何に出すか」ということを日々考えており、もはや「働く」とは「ドーパミンを世の中に増やすこと」と言えるかもしれません。


教育者も同じで、様々な手法やコンテンツを作り、如何に「学ぶ価値の高いこと」と、子ども達の「ドーパミン分泌」を紐づけられるか、に日々向き合っています。

子どもたちもドーパミンで動いてるので、基本的につまらんことはやりません。となると、子どもたちにとって何が楽しくて、何がつまらないかは知っていたいですよね。
で、その上でなんですが、子どもらが「楽しい」と感じることが変化してきているんじゃないか、と僕は思います。

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参考:https://gentosha-go.com/articles/-/13858

 

子どもは思ったよりもこっちの世界が見えている。


子どもらが「楽しい」と感じるものが、昔に比べ変化してきています。時代によって価値や、環境は変わりますから、とても自然な話です。

簡単に言うと、インターネットで情報が民主化したことで、「〇〇ごっこ」のような子ども騙し的なコンテンツ、あえて極端に書くと"ニセモノ"では刺激が足りなくなってきている。


スマホを持った子どもの情報量には凄まじいものがあります。局所的にではありますが、保護者も知らないようなことを子どもが知っていることも多々あります。
大人と子どもの情報の非対称性が昔よりも下がってきており、子どもたちはYouTubeGoogleを通して、こっち側のリアルな世界をチラ見しまくっています。だから擬似的コンテンツは、刺激弱めのニセモノに写るんですね。


ゲームのグラフィックのリアルさがさらに上がっていったり、五感に複合的により強く作用するデバイスができていったり、VRなんかがもっと安くなっていけば、擬似体験とリアル体験にほとんど差がなくなっていきます。そうなってくるとなおさらリアリティの低いコンテンツに子どもたちは反応しない。
だから、今の子は多分昔の人より教科書読むのつまらないと思います。だって動画の方がリアリティあるし、スカイプで英会話すれば生だし、スマホ一台でお商売できちゃうし。そういうのみんなもう割と知ってるんです。

こんなことを言うと「やっぱりゲームとかインターネットから遠ざけて育てなきゃ!」って人が出てくると思うんですが、はっきり言ってそれも違う。
大人になったら必ず触れるわけですから、むしろ遠ざければ遠ざけるほど、テクノロジーとの上手な付き合い方を学ぶ機会がなかったり、これからのスタンダードから遅れて行ってしまい、いわゆる一種の"世間知らず"状態になる可能性があります。

 

 

" ホンモノ"を教育コンテンツに。


「じゃあどうせえっちゅーねん」というところの解決策でいうと、
「ホンモノを教育コンテンツにしていけるか」というところがキーポイントになりそうです。

具体的には、
①実際にやってみる。
②現場に行ってみる。
③本人に来てもらう。
のどれかからやるのが手っ取り早いです。

①はもう圧倒的です。自分でやってみて、失敗して、もう一回やってみて、成功して、を繰り返すことでテーマの解像度が上がっていく。人間は手を動かす方が脳が活性化するようにできてますから、どんどん自分でやってみる。
②③に関しては、「事件は現場で起きている!」ですし、「ご本人の登場です!」のインパクトって強いじゃないですか。そもそも誰かがまとめた二次情報ってのは、デフォルメされてて、情報量が非常に落ちるわけです。
行って、会って、見て、話して、感じて、触って、聴いて、嗅いで、味わって、etc...そうすることでわかるものってたくさんあるのです。


studioあおでいうと10歳から、

ホンモノのお金を渡して、お商売する。
ホンモノの企業に提案に行く。
ホンモノの裁判を見に行く。
ホンモノの毒イソギンチャクで研究して、論文を書く。
ホンモノのノラ猫の飼い主をみんなで見つける。
etc...

最低限の安全性を確保した上で、ホンモノを使ってやってみる。失敗は大歓迎。それもリアルです。

教育の目的は「社会の一員を育てること」なので、教育コンテンツは「社会との接続性が高い」ことが大前提として非常に重要です。
そこには「もし例えば〇〇だとして〜、」という仮定は少しパワーが足りなくなってきている。
本当の社会の課題に、本当に向き合う。
受付システムに困っている店があるとします。ではなく、本当に困っている店を見つけてくるんです。
できるだけホンモノを。できるだけ直接社会に触れさせる。「模擬体験」でなく「リアル体験」の機会を創出できるかが肝です。


評価も同じく、社会と同じリアルな評価を。
studioあおでは、3ヶ月に一回、プロジェクト報告会という形で、生徒たちが自分たちでやっていることの進捗を、起業家、研究者、アーティスト、行政マン、そして保護者さんたちに発表し、教育者による代替的な評価という形ではなく、あらゆる人からのフィードバックを受けます。

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ここには学校でよく聞く「あの先生の評価はおかしい」という言い訳は通用しません。受けているのは社会の評価。子どもたちがこの先生きていく世界でのルールです。

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報告会は盛況のうち終わりました。 
いろいろ課題も見つかりましたが、子どもたちはこの3ヶ月間も自分の問いに向き合い、社会にアウトプットし続けました。よくやった。かっこいい。おじさんももっとがんばります。
ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。



2019年度最後の3月29日(日)には、関西にある弊社全スクールを対象とした「COLEYOプロジェクト報告会(仮)」を開催します。
うちの教室に通っていない子もエントリー可能です。「こんな面白いことやってるよ!」「僕の私のやってること見て欲しい!」って子はどんどんエントリーしてください!参加無料です。発表の準備も手伝うよ。見学も300名様くらいまで無料にしようと思っています。

場所はスタジオアルを運営する、立命館大学大阪いばらきキャンパス分林記念館で行う予定です。皆様ぜひ見に来てください。

www.studio-aru.com



今回のブログは以上です。
もう一度言いますが、子どもたちは"ニセモノ"に飽きており、まがい物をあてがってくる大人に気づきます。
子どもを尊重し、失敗を許容し、ホンモノの体験をどれだけ積ませてあげられるかは、子どもたちのモチベーション(ドーパミンドバドバ度)に影響がある気がします。
「世の中のありとあらゆるリソースを教育リソースに転換」していく意識、「教育ジャイアニズム」を装備しましょう。教育はそれ成り立ちますから。子は宝だもの。

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みなさん、2019年もありがとうございました。
今年は教室移転したり、スタジオアル@立命館大学OICができたり、メンバーがグッと増えたり、激動の年でした。
毎年言っているんですが、今年が一番面白かった。今年も記録更新です。
関わるすべての皆様に、感謝を申し上げます。

2020年、関わるすべての人たちにとって良い年になるよう、僕も会社も楽しくゴキゲンに頑張ります。
皆様今年も、どうぞよろしくお願いいたします。

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