企む職員室。[studioあおブログ]

企みつつ、育てています。

秘密基地のおはなし

なかよし公園という、あたしの地元の公園。

そこの裏手に、途中で断念された工事現場みたいなのがあったの。

鉄骨がぶわーって組み上げられてて、大きいロボットみたいになってた。

安全第一みたいなオレンジの柵で、鉄骨には近づけないようになってた。


この前地元に帰ったときにふとその景色を思い出した。

そこには現場作業員が置いていったであろうお菓子が、たんと置いてあって。

当時小学生だったあたしらは、そこを秘密基地にして、お菓子を食べていた。

なんとなくルールとかを決めていた気がする。

お菓子は一日これしか食べたらいけない、とか、時間替わりで見張りをつけたり。

ルールを破ったら罰として、電気アンマか全員しっぺか、みたいな。


そう、秘密基地ってすごいワクワクするんです。

これってわりとみんな通って来てるもんなんですかね?

あたしの地元は公園とか神社とか山とか、なんか秘密基地の素地みたいなのがたくさんありまして。

何か所かつくっていたような気がする。


大人になっても、隠れ家バーとか、隠し部屋とか、なんか潜れる場所にときめいたりするもんで。

あれって空間さえ囲われていたら成立するんじゃないかしら。

たとえブルーシートで壁をつくっていたとしても。

たとえ秘密の会話が外に漏れ出るような構造でも、問題ない。

布1枚、段ボール1枚でも、外部と遮断された空間があれば、それはもう秘密基地で。

想像力で、1.5mのコンクリート壁に囲まれているようにだってなれる。

世界転覆をもくろむ悪のアジトにだって。

 

20世紀少年は、あの秘密基地で生まれた会話が大人になってみるみる実現されていく、という面白さ。

 

たとえ同じメンバーだったとしても、学校で話すのと秘密基地で話すのとではきっと会話が変わる。

ここでしかできない話。ここでしかなれない自分。

好きな女の子の話なんかも、ともだちの家で話すのと秘密基地で話すのでは、なんだかドキドキが違う。


最低限の囲いと、最大限の想像力があれば、どこかちがう世界へトリップできる。

そんな小説を書きたいんでした。

大きな秘密基地をつくっていく話。

とある理想を掲げ、仲間をつどい、ルールをつくって、生活していく。

村や集落でもなく、あくまで秘密基地。

住民票や血縁でしばられていない、信頼のうえに成り立っている人間集団。

そこで生まれる会話や、独自の決めごと、基地の拡大みたいな、そのへんの細かいあれやこれ。


「河川敷に落ちてる雑誌を拾ってくるのがお前の仕事だろ!」


来月から、えっちらおっちら書いていくので、またお付き合いいただければと思いますです。

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