夏休み、僕たちは"死"の観察を始めた。「夏の庭」を読んで。- 12歳の本棚
どうなるんだろう。友だちも家族もなく、もし何か最後の言葉を言ったとしても、だれにも聞かれることがなかったら。その言葉は部屋の空気の中をさまよって、やがて消えてしまうのだろうか。 何も言わなかったのと同じように。「死にたくない」「苦しい」「痛い」「くやしい」「しあわせだった」そんなどんな言葉も。
(本文より)
そして僕たちは観察を始めた。人が死んだらどうなるんだろう。
まずこの本は今、友達に会えず夏休みが削られる、といった状況にある子供達に読んで欲しい。 3人の少年の夏休みを描いたこの物語はある一つの疑問から始まる。少年たちの言葉のやりとりや、あたたかい登場人物に引き込まれてゆく。 ふと、忙しい日々の中で自分の未来のことを考える時がある。自分のいろんな場面を想像する。受験、就職、結婚、そして自分が死ぬ時。 自分がいなくなった世界を想像してさみしい気持ちになったとき、 そんな時にこの本が話し相手になってくれると思う。